平成19年度静岡県産業振興知事褒章
(郷土工芸技能者)について
平成19年6月18日(月)静岡市葵区にあるクーポール会館にて平成19年度静岡県郷土工芸品振興会総会が行われ、その中で静岡県産業振興知事褒章表彰伝達式があり熱海市より内野 正男さん(76歳)が静岡県産業振興知事褒章を受章されました。なお今回の静岡県知事褒章は内野さん1人の受章となりました。
内野さんは終戦の年(昭和20年)、中学卒業と同時に家業であった楠細工の仕事を始めました。当時は最年少だったこともあり大変な苦労をされたと言います。兄弟で家具製作を行ってきましたが、昭和38年に家具製作をお兄さんが、漆塗りを内野さんが、という分担で仕事を行うようになり、家具塗装業として独立し本格的に楠細工の漆塗りを始めました。塗りは内野さん、仕上げの拭きは奥さんと2人3脚で行い市内外の木工所から多くの依頼を受けていました。平成4年には市技能功労者表彰を受賞されましたが、数年前に体調を崩された事を機に現役を引退され、現在では後継者のための指導にあたっています。
体調を崩されてからの約3年間は入退院の繰り返しで、何も出来なかったその時に熱海の楠細工を残していかなければと強く思ったと言います。熱海楠細工を扱う木工所は現在内野さんの所を合わせて3つしか残っていません。楠家具工芸組合長で熱海楠家具製作所の鳥澤 康正さんや、同じく熱海楠家具製作所の安井 豊さん、そして内野さんの甥でウチノ家具の内野 博さんが現在内野さんから漆塗りの技術を教わっています。内野さんは、自分よりも若い人が現在熱心に活動をしてくれて感謝している。自分の持っている知識・経験・技術を伝えて行きたいとおっしゃっていました。

知事褒章の賞状を受け取る内野氏 受章後コメントをする内野氏
表彰式後 静岡県産業知事褒章受章者 内野 正男 氏(右)
熱海楠家具工芸組合長 鳥澤 康正 氏(左)
現在の活動について
今では病気であった事を全く感じさせない程にまで回復された現在、内野さんは現役を引退され後継者の指導にあたっています。
内野さんが楠細工を始めた時は、「直接教えてくれる人などいなかった。職人の背中を見て勉強した。」と言います。入院している時は、後継者の方たちに奥さんが直接指導にあたっていたそうです。今まで誰かに教えてもらった事がなかったので、指導する時にどう教えていいか困るといった悩みも教えて頂きました。また、塗りの力加減などの微妙な調整は経験を重ねるしかないと語ります。漆塗りには、塗る作業と拭く作業に分かれています。拭く作業は奥さんの担当でそのあたりの指導も奥さんに任せており、内野さんは「僕は口をはさむだけだよ」と言います。日頃の奥さんの助けもあって、仕事も指導も2人3脚で現在も行っています。奥さんにはとても感謝しているし、今回の知事褒章受章も奥さんのおかげだとおっしゃっていました。
今は商売を抜きに仕事をしているので、その分良い塗りにこだわって仕事をしながら、これからも後継者の育成に尽力していくと意気込みを語ってくれました。
静岡県産業振興知事褒章受章後の市長報告
静岡県産業振興知事褒章受賞の翌日、平成19年6月19日(火)に受賞者の内野正男さん他、組合員の方3名が齊藤栄熱海市長を表敬訪問し、知事褒章受章を報告しました。
その中で内野さんは、これまでの経緯や楠細工の歴史、これからの抱負を語って頂きました。その中で齊藤市長は「これまでのご活躍が認められての知事褒章受章です。楠細工は熱海の貴重な伝統工芸ですので、一層の努力と継承を宜しくお願いします。」と内野さんの功労を称えました。


知事褒章受章を市長に報告する内野氏(写真中)
市長と組合員の方々
(左) 熱海楠家具製作所 安井 豊 氏
(中左) ウチノ家具 内野 博 氏
(中) 熱海楠家具工芸組合長 鳥澤 康正 氏
(中右) 静岡県産業振興知事褒章受章者 内野 正男 氏
(右) 熱海市長
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